ブログの更新を怠けてぼーっとしている間に、いつの間にやらすっかり盛夏になってしまいました。
ところで当店には少しではありますが、レコードジャケットとは別に音楽に関係あったりなかったりする写真や絵を飾っているのですが、あまり同じものを掛けていると飽きてきてしまいます。そこで、暑気払いの気分転換も兼ねてカサンドルがエルメスのためにデザインしたトランプを額装してもらいました。
A. M. カサンドルは、アールデコ時代を代表するデザイナーの一人で、「ノルマンディ号」や「北方急行」のポスターやイヴ・サン・ローランのロゴなど、古さを感じさせるどことか、むしろ一歩も二歩も先んじているかのような名作の数々を生み出しました。しかし、レコードコレクターという観点から見ると、1950年代に多くのレコードジャケットのデザインを手がけたおなじみのデザイナーということになります。
さてこのエルメスのトランプ、数字札は共通のデザインとなっていますが、絵札とエースは4種それぞれに違うデザインが施されています。また、トランプ側面には金箔が塗られているという手の込んだものとなっています。
このトランプには同じエルメスによる復刻版もあるのですが、こちらはトランプ裏面が無地であったり(この裏面のデザインもカサンドルの面目躍如たるデザインで、赤系と青系の2種類が作られました)、側面も金箔処理がされていなかったりと、(レコードと同じく)やはり初版が良いという典型的な一例となっています。
一緒に額装してもらった、ヴェルジュビロヴィッチ(帝政ロシア時代の宮廷チェリスト)の小さな写真と共に、また違った気分で音楽を聴くことができそうです。