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コレクターの数だけコレクションの形あり。それらの中でも、およそ最も無用と目されるものの一つが作曲家、アルベール・ルーセルではないでしょうか。交響曲、室内楽曲、歌曲など数多ある作品の中でも知られているのは《蜘蛛の饗宴》ただ1曲。それも即座にメロディを口ずさめる人がどれほどいるでしょうか。時に荘重、時に晦渋な作風は、どこを切り取っても有名曲となる素地が見当たりません。しかし、そんなルーセルであるからこその魅力的な作品があるのもまた真実です──セレナード、弦楽四重奏曲、いくつかのピアノ曲、歌曲など。

それにまた、無用と謂われるものを集めている時、すなわち必ず転落する岩を持ち上げているシシューポスのごとき時間こそが、コレクターの最も充実した瞬間、美の瞬間、恍惚の瞬間でもあるのです。

意味を成さない前置きとなってしまいましたが、「ルーセルこそが最も尊い作曲家の一人である」と言って憚らないコレクター氏が、何を血迷ったか「2019年はルーセル生誕150年記念である」と宣い、記念レコード・ジャケット・カレンダー制作の暴挙に出ました。

葉書サイズ。厚手の和紙調紙にカレンダーの数字が活版で刷られ、ジャケット写真はインクジェット(調子よく言えばジクレー印刷)にて仕上げてあり、いささか凝った造作となっています。裏面には通り一遍のレコード解説だけではなく、関連する録音や作品など、ルーセル愛好家の面目躍如たる文章がしたためられています。茶封筒もコレクター氏のこだわりが垣間見えます。カレンダー立ては付属しませんので、なにがしかの工夫が要ります。

以下、コレクター氏自薦文。

2019年はフランス近代の大作曲家、アルベール・ルーセルの生誕150年にあたります。これを記念するカレンダーが、ルーセルの音楽をこよなく愛するレコード蒐集家によって制作されました。各月毎に1950年代から60年代初頭にかけてのルーセルの名盤が12枚選ばれ、裏面には採り上げられたレコードについての解説が付されています。解説はルーセルの録音史を辿れる興味深いものとなっており、SP時代の名演奏や稀少なプライベート録音にも触れられています。

およそ全世界を見渡しても、このようなカレンダー、もっと言えば記念品ですら出版される機会は無いと思われます。そのような意味も含め、貴重な一品かと存じます。

無駄こそが最高の美学、と感じられるコレクター諸氏、我こそはルーセル・コレクターの筆頭であるという方にお薦めいたします。

¥1,600
在庫 2