コンスタンチン・リフシッツ演奏会(ゴルドベルク変奏曲)

明けて12月24日は、ゴルドベルク変奏曲です。

演奏会場は、平均律クラヴィア曲集の武蔵野文化会館(小ホール)から東京文化会館へと、都会へ出てまいりました。客層もカジュアルだった前日とは打って変わり、コンサートホールへ来ているぞ、という雰囲気に満ちています。これは、お隣大ホールで行われているクリスマス恒例(であろう)メサイアの影響もあるのかもしれません。

前日の平均律クラヴィア曲集全曲演奏会については、すでに書いた通りなのですが、ゴルドベルク変奏曲ではまた違った面が出てくるのではないか、との期待もありました。

しかし残念ながら、前日の演奏と大きく異なるようなことはなく、緻密に組み立てられた熱演、という以上の印象を得ることはできませんでした。

わたしが音楽を聴くとき、それがどんなに感心しないもの、突飛なものであっても、すくなくともわたしよりも音楽的経験が豊かで、音楽に対しても真剣である人が、このように弾いているのであるから、何かわたしには計り知れない意図があるのではないか、とまずは演奏よりも自分を疑って考えるのですが……リフシッツの意図はどうもわたしには分かりかねたようです。

コンサートの後、同行した方々とお店で軽くワインなどを飲みながら(当然私は水なのですが)雑談などしたのですが、ひとしきり誰のゴルドベルクが良いかなどと話した後、「ソコロフのゴルドベルクを聴こう」ということになりました。このとき、同行した方々も、リフシッツの演奏から私と同じような印象を得たのだということが、なにとはなしに分かったのでした。