おわら風の盆

松本から足を延ばして、富山は八尾のおわら風の盆を見てきました。なんだかんだと今年でもう3年連続の訪問となってしまいました。

風の盆は、他の盆踊りとは少し趣きが異なっていて、おわら節というゆったりとした息の長い歌とともに、踊り手がゆっくりと進んでいきます。踊りもまた独特で、編笠を目深にかぶり、揃いの浴衣で踊る姿は、夏の盆踊りというよりは、静かな秋の風情を感じます。

風の盆の魅力はなんといってもその音ではないかと思います。楽器(地方)は三味線が中心なのですが、大きな特徴は胡弓が使われることで、夕闇に響く胡弓の哀愁を誘う音は、単調な旋律の繰り返しにも関わらず知らず知らず惹きつけられてしまいます。

ただ、この風の盆は古くからある狭い町で行われる上に、観光に訪れる人の数がとてつもなく多いため、7時頃から行われる正式な町流しは押すな押すなの大盛況となってしまい、あの哀愁を帯びた旋律をなかなか素直に味わうことができません。

そこで今年は思い切って、深夜1時頃に出かけ、数人の地方と踊りで練り歩く、夜流しを楽しむことにしました。写真のように深夜とはいえまだたくさんの人が居ますが、これが正式な町流しともなると、立すいの余地も無くなってしまいます。

古い町並みの残る諏訪町で、行きつ戻りつする夜流しを眺めていると、都会で溜め込んだ雑事、雑念などはすっかりどこかへ飛んでいってしまい、ゆったりと流れるおわら節にただ聴き入るばかりでした。