2010年12月一覧

シニョーリ広場(ヴィツェンツァ) [News写真2005年3月]

イタリアに限らずラテンの国々(主にフランスとイタリア)は、真面目一方な我々日本人には考えられないほどの長い夏休み、すなわちヴァカンスを取ります。極端な例だと7月の初めから8月の終わり頃までヴァカンスを取るお店もあります。

とはいえ、ラテンの国々も「このままではいかん」と思ったのか、ヴァカンスは短く、食事の時間も短く、食事のカロリーは低くなる傾向にあるようです。

このときは、スイスから北イタリアを回ったのですが、時まさに8月というわけで、イタリアはどこの町もかしこの町も水を打ったような静けさ、「地球最後の男」になったかと思うほどです。

しかも、このときのヨーロッパには、余りエアコンが普及していないフランスで老人の死者がたくさん出たというとんでもない熱波が襲来しているところで、スイスからコモ湖を越えて夜9時頃にミラノに到着したとき、見かけた温度計に38度という数字が煌々と輝いていたのを、今でもよく覚えています。

ヴィツェンツァの中心、シニョーリ広場もお昼だというのにまさに人っ子一人いない状態、むなしく太陽だけが気温をぐんぐんと上げ続けていたのでした。

それにしてもイタリアの古い町の美しさといったら……日本人として彼我の美意識の違いを痛感してしまいます。


三宅麻美ベートーヴェン・ツィクルス

今年もあっという間に暮れとなってしまいました。もしかすると、光陰の矢に乗っかってしまっているのでしょうか。

10月から12月にかけては、個人的なことでドタバタとしていた上に、前々からチケットを買っていたコンサートがずいぶんと重なってテンヤワンヤしてしまいました。いまさらですが、いくつかのコンサートの感想などを書いてみたいと思います。

まずは11月に行われた三宅麻美さんの「ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 全曲演奏会 第1回」です。

三宅麻美さんは、以前にピアニストの友人から紹介されたのですが、話してみると、なんとショスタコーヴィチがお好きであるという。とりわけ弦楽四重奏の15番やヴァイオリン・ソナタ、ヴィオラ・ソナタがお好きでらっしゃるという。しかも前奏曲とフーガ全曲を日本人として初めて録音されたのだそうで、これはもう完全に私の好みと一致してしまっている変態、いや、素晴らしい感性をお持ちの方なので、すっかり話がはずんでしまいました。

そういえば、この春には三宅さんと荒井英治さんによるショスタコーヴィチのヴァイオリン・ソナタ他を聴いたのですが、演奏が音楽に解けこんでいくような素晴らしい演奏で、なんというか、久しぶりにショスタコーヴィチらしいショスタコーヴィチを聴いたような気がしたのでした(レコードも含めてです)

そんな三宅さんがベートーヴェンを全曲演奏されるというのですから、これは聴き逃すわけにはまいりません。

ベートーヴェンというのは、戦後の日本でもっとも聴かれてきた作曲家であろうと思うのですが、経済成長が怪しくなりはじめた頃から、マーラーだブルックナーだショスタコーヴィチだと言われはじめ、ベートーヴェンのような前向きで力強い音楽というものが、やや飽きられたというか、多様性の波にのまれてしまったような状況なのではないかと思います。

しかし、ずいぶんと音楽のつまみ食いをしてきた現在の私にとっても、最後の最後にたどり着く作曲家は(もちろんシェーンベルクであるとかショスタコーヴィチが好きであることには変わりはないのですが)バッハかベートーヴェンではないかと感じてしまうのです。特に私の好きなベートーヴェン後期の作品は、幾度となく聴いても常に新たな発見があり、すべてを内包し、ついに音楽の真理に達したのではないかと思わせる一方、極めて個人的な感情にもつながっているように思うのです。

今回の演奏会は作品番号以前のものから、1、2、3番というプログラムでしたので、普段後期のソナタばかりを聴いている私は、気楽な気分で聴きに出かけたのですが、ベートーヴェンという作曲家の凄さというものを思い知る羽目となりました。

三宅さんの演奏を聴いていると、ときに「えっ、こんなフレーズがあったの?」と思ったり、「こんな仕掛けがあったのか」と気づく場面に出くわし、ベートーヴェンの革新性と天才はすでに初期の頃からあったことを、あらためて知ったのでした。甘さを廃した演奏は、ベートーヴェンの旋律の美しさを浮き立たせるに余りあるものでした。ベートーヴェンの旋律は、甘く流麗に弾いていても、それは結局表面を撫でているだけに過ぎず、決して彼の音楽の本質にはたどり着けないのではないかと思います。

本当は一飛びに後期のソナタが聴きたいのは山々なのですが、三宅さんのツィクルスを順を追って聴いていくうちに、次々と新たな発見に出会えそうな予感がしています。


England His Masters Voice ALP 1195

014924
ベートーヴェン 交響曲第5番《運命》
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(cond) ウィーンpo.
金文字SCニッパー,GG厚手プレス,フランスFALPジャケット
多少の浅いキズ,ジャケット破れ補修
NM / NM-

France Vega C 35 A 33-4

014927
プーランク 『歌曲撰 1919-1954』《アポリネールの2つの詩》〔アンナの庭,さあもっと急げ〕,《動物詩集》〔ラクダ,チベットのヤギ,イナゴ,イルカ,ザリガニ,コイ〕,橋,モンパルナス,《ポール・エリュアールの5つの詩》〔男の休息,女を腕に抱く男,澄んだ水の羽,ガラスの額をしてうろつく女,恋する女たち〕,《さわやかさと火》〔目からさす光,朝に枝々はかきたてる,すべてが消えた,庭の暗闇に,火とさわやかさをひとつにせよ,やさしい微笑をうかべる男,大きな川の流れは〕/C.,失踪者,君には夕べの火が見えるだろう,ポールとヴィルジニー,ラ・グルヌイエール,パリ百景〔ビューグルを吹くひと/もう手紙をくれないのかい〕,きみはこんな人,墓碑銘,,陽気な歌〔浮気な恋人,酒のすすめ,マドリガル,パルクへの祈り,酒の歌,捧げもの,はつらつたる青春,セレナード〕,平和の祈り
ピエール・ベルナック(t) フランシス・プーランク(pf)
白/黒-竪琴,FD,25cm,2LPs 分冊
初版見開きジャケット,浅いキズ少々
NM

Japan Victor VX 178

014920
シューベルト 弦楽四重奏曲第13番《ロザムンデ》,ハイドン 同《セレナーデ》
ベルリン四重奏団(ズスケ,ペータース,ドムス,プフェンダー)
茶-SD,GGやや厚手プレス,ステレオ
1973年東京録音,ジャケット少シミ等
NM+

USA Columbia ML 4534

014921
『アンコール』W. F. バッハ(クライスラー編) グラーヴェ,クライスラー ポルポラ様式によるアレグレット,プニヤーニの様式による前奏曲とアレグロ,ポルポラの様式によるメヌエット,ロンドンデリーの歌,プーランク(ハイフェッツ編) プレスト,F. ヴァレ(ハイフェッツ編) 前奏曲第15番《かがり火のそばで》,マスネ 《タイス》の瞑想曲,ヴィラ=ロボス 黒鳥,シャブリエ(ドゥシュキン編) 楽しい行進曲,ヴィターリ シャコンヌ
ジノ・フランチェスカッティ(vn) アルトゥール・バルサム(pf)
6eyes,GG厚手プレス,第2版
ジャケット背ほぼヤブレ
NM+ / NM

Czech Supraphon LPV 365

014922
モーツァルト 3つのヴァイオリン・ソナタ KV 301,304,454
アレクサンドル・プロチェク(vn) ヨゼフ・パーレニチェク(pf)
青/銀,FD,第2版
味わい深い演奏,2版レーベルだがフラット盤
NM+


USSR Melodiya D 027043-4

014909
ブラームス ピアノ協奏曲第1番 op. 15
ルドルフ・ケレル(pf) ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(cond) USSR放送so.
青-中抜き文字,GG厚手プレス
NM+